~指針となりうるもの~ 平山修一
GNHはその解釈と共に、指標化しにくい概念だと捉えられている。確かに主体的な観念を数値化するのには無理な面があるが、そのような状況下でも指標化に繋がる指針はブータン王国の指導者を中心に考察されてきた。 ここに記載するものはあくまでも GNH自体の指標化ではなく、 GNHを感じることができる社会造り(環境造り)に必要な指針であると筆者が解釈したものである。以下にその代表的な指標を記載し、その分析を試みる。 先ずは GNHを計測する指標モデルとして Tobgay S Namgyalが以下の表を作成している。これらの指標の中には計測不可能なものも多いが、非常に参考になるものである。
(出所) Tobgay S Namgyal “ Sustaining conservation finance: future directions for the Bhutan trust fund for environmental conservation” Journal of Bhutan Studies, 2001, Volume 3 No 1, Summer 2001, The centre for Bhutan Studies p 81 より筆者が作成 上記の表は分かりにくく、主観的なものが多く介在しているように筆者には見受けられる。ようはこれらの個々の指標の追求ではなくてこれらの指標の関連性をもっと明らかにし、どの指標とどの指標とのバランスを取ることが必要なのかを明確にすることが求められる。 つまり外的な要因と主観を持って認識されるものとの区分けが出来ていない。 GNH を感じるのは人間である。その点を整理しないと指標とはいえない。よって以下には文章によって表現された GNH の指標を分析してみる。 2000 年に打ち出された国家戦略のブータン 2020 の中に GNH の指標足りうる概念をまとめた文があるので以下に記述する。 “These five objectives are human development, culture and heritage, balanced and equitable development, governance and environmental conservation. ” 上記の文章を翻訳すると、 GNH に必要な要素は、人間開発、文化と遺産、バランスのとれていて公正な開発、ガバナンス、環境保全と考えられる。時系列では逆になるが、この考え方をより集約したものが下記の指針である。 これは「 Lyonpo Jigmi Y.Thinley ” Gross National Happiness and Human Development ” Gross National Happiness, The centre of Bhutan studies, 1999, p15 」に謳われているものだが、この 4 本の柱はより理解しやすい。前文から「人間開発」のエッセンスが抜けているが、この解釈については今後の研究課題である。特にアマルティア・セン教授や早稲田大学の西川潤教授の解釈を踏まえて考察したいと思う。 その Jigmi Thinley が提唱するところの GNH に必要な要素は、
つまり
|