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GNH研究所開設10周年に寄せて

2015年07月16日

GNH研究所開設10周年に寄せて

 1995年3月、まだ冬の寒さが厳しいブータン王国ティンプ市。その郊外のランチョパカ区にあるCBS(ブータン総合研究所)近くに、当時在ブータンの4人の日本人男性が集まって始まったのがGNH研究所でした。
 このGNH研究所もおかげさまで10周年を迎えることが出来ました。これもひとえに多くの方々の献身的かつ温かいサポート、ご支援によるものだと考えております。この場を借りてお礼を述べさせて頂きます。

 10年間を振り返りまして当初研究所が目指した【GNHを日本に紹介する】という役割は終わったのではないかと考えるようになりました。2011年11月のブータン国王の訪日もあり、GNHという言葉自体は日本でも知られるようになりました。
 しかしながら日に日にブータンやGNHの知名度は上がるのですが、幸福度No1や幸せの国との一度張られたレッテルにより、そのGNHの意義や役割が、正確に日本社会に伝わっていないのではないかと言うジレンマを感じています。
 世界のどこにも常に幸福な国などないと思います。幸福を目指している国としてブータンに見習うべき点こそあれ、ブータンの行っている政策が完璧で、即、日本に応用できるとは考えるべきではないと思います。
 ブータンではGNHの計測方法は未完成であり発展途上にあります。まだこの試みに対して学識者がその良し悪しを論じるレベルにないと思います。まずはその計測手法よりもその考え方に注目をして欲しいと思っています。
 「我々は歴史ある価値観を持つ若々しい現代的な国民です。小さな美しい国ではありますが、強い国でもあります」国王が自国の国民を信じ、他国の国会でこう言い切ることが出来る。その自信を支えているものこそがGNHの源泉だと考えています。

 これからのGNH研はこうしたブータン発の考え方をブータン関係者に限定せずに広め、ひいては「外国の智慧を日本に活かす」という幅広いコンセプト/切り口で活動を継続していきたいと考えています。そしてこの考え方を日本に応用し、その事例を持ってブータンに限らず他国に還元したい。そうした想いを持っています。
 GNH研は参加者が共に考え、共に成長するような活動を展開したいと思います。まだまだ小さな活動ではありますが、多くの皆様の参加を心待ちにしています。

文責 平山 修一

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