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GNHと犬の幸せ

2014年07月15日

GNHと犬の幸せ

 昨年の9月に、母が亡くなりました。紀州犬の愛犬「白樹」が一匹残され、私は引き続き世話をしていましたが、11月頃に隣人から「白樹君喧嘩でもしたの」と言われ、見てみると、まるで因幡の白ウサギのように腹部が真っ赤に腫れ上がっていました。急ぎ、獣医さんに診せましたら、心因性のアトピーとの診断。獣医さんから「何か大きな環境の変化がありましたか」と聞かれました。飼い主が死亡したことを告げると、「それが原因だろう」と言われました。犬は環境の変化に過敏で、特に飼い主が見えなくなると病気になることがよくあるそうです。今は、薬の効果と私が付きっきりなので、すっかり元気で、母のことも少しづつ忘れてきているようです。

 ブータンにいた時のこと、隣の家の犬を可愛がっていたのですが、ある日、街中を歩いてましたら、ブータンに住んでいた人なら誰でも知っている犬害に会いそうになりました。4・5頭の犬に囲まれ、今にも噛みつかれそうになった時、一頭の犬が矢のように飛んできて私の前に立ちはだかり、私を囲んでいた犬たちを威嚇しました。おかげで、私は噛まれることなく救われました。その犬が隣の犬でした。犬は、親しい人を身を挺して救うことがあることを初めて実感しました。

 犬は、古くからの人の友人で、家族の一員と言われてますが、GNHの考えには犬も入れていただいているのでしょうか。野犬の多いブータンでは、シェルターを建設したり、繁殖し過ぎを防ぐために、我が国からも獣医が出かけて去勢や避妊の手術をしてましたが、人と犬が共存していくには必要な処置と思ってます。

 犬は愛玩用だけでなく、古くは、猟犬や牧羊犬だけでなく、現在では、体の不自由な人への盲導犬・聴導犬・介助犬、セラピー犬、災害救助のための山岳・水難・地震救助、犯罪探知のための麻薬犬、警察犬、更には、獣害駆除犬、放火探知犬、遺体探知犬などで人の生活の様々な場面で活躍しています。

 犬が人と共存して、犬自身が幸せになることもGNHの考えに入れていただけるといいと思うのは、愛犬家ゆえの我儘でしょうか。

 私は、帰国後に犬の訓練士になろうと、犬訓練校のパンフレットを取り寄せたのですが、受験資格が30歳までとあり諦めました。今は、愛犬「白樹」君の幸せのためにと親しく付き合っています。


文責 森 靖之

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