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「幸福」への学びと実践の場、Act for Happinessの活動紹介

2013年10月15日

「幸福」への学びと実践の場、Act for Happinessの活動紹介

●Act for Happinessとは
 「幸せって何だろう。」
 「どうすれば幸せになれるのだろう。」
 誰もが人生の中で必ず考えるこの疑問。ただ、それを真剣に考えたり、話し 合ったり、幸せになるために行動するということはなかなかありません。
 この誰もが抱く素朴な疑問に対して、真正面から向き合いたい。そして、物質的な価値が重視される現代の世の中で、精神的な豊かさを追究することの大切さを訴えていきたい。Act for Happiness(通称AFH)は、このような思いから生まれました。2012年5月です。
AFHの活動の様子  以後、様々な有識者からの講演や、小さな実践活動を毎月定期的に開催し、2013年3月には「HAPPY DAY TOKYO」のイベントにも参加し、AFHの活動理念に多くの方が共感してくださいました。
 そして、先日はGNH研究所と共催でブータン元首相フェローの髙橋孝郎さんのご講演を開催させていただき、直前の募集だったにもかかわらず、多くの方にご出席頂きました。
 現在は定期的な活動はしておらず、「プロジェクト」単位で単発的にイベントを企画し、その都度参加者を募集するという形式で、細く長く活動しています。

●「幸せ」の定義
 このようなAct for Happinessの活動に対して、疑問を持つ方も少なくありません。
 その一つは、「「幸せ」は人それぞれなのだから、考えても答えなんて出ないだろう」ということ。
 この疑問に対して、確かに一面その通りだと思います。何がその人にとっての幸せなのか、それは人それぞれです。サッカーが大好きな人にとってはサッカーをすることで幸せを感じることは容易ですが、サッカーが嫌いな人にとってはサッカーをして幸せを感じることは難しいでしょう。
 それ故に、AFHは自分自身の幸福感に向き合うということを尊重しています。何をするときに最も幸せを感じるかということについて、私たちは案外知らないものです。一人一人が自分にとっての「幸せ」に気づき、向かい合い、今の人生を見つめ直すことが、幸せに生きるための第一歩だと思います。
 また、「幸せは人それぞれ」と言いましたが、同じ人間の抱く感情としててんでバラバラということはないでしょう。実際、多くの幸福についての科学的な研究において、何が人を幸せにするのか、ということに対して共通した見解があります。
 例えば、「感謝」。毎日の当たり前に思われる生活が、実は有難いものであったと気付いた時、今生きている自分が如何に幸せかということを知ります。
 もちろん、ただ単純に「ありがとう」という回数を増やせば良いと言うわけではありませんが、感謝の気持ちが幸福感に繋がっているというのは研究結果を待たずとも実感できるものでしょう。
 AFHの活動は、このように「幸せ」を無理に定義することなく、むしろそれぞれの価値観を尊重しつつ、「感謝」といういわば「幸せの本質」を探究し、それを如何に私たちの生活に浸透させていくことができるかを考え、実践しています。

●「幸せ」の実践
HAPPY DAY TOKYO の様子  AFHの活動はその団体名の通り、実践(act)をすることに主眼を置いています。広い意味では勉強会や研究も実践のうちですが、何が人を幸せにするのか、どうすれば人は幸せになれるのか、ということを自らの実践を通して感じ、社会に広めて行きたいと私たちは考えています。
 例えば、先ほどの「感謝」に対する実践として、「HAPPY DAY TOKYO」では「ありがとうの手紙を大切な人に送ろう!」というイベントを企画しました。手製のはがきとポストを用意し、来場者に感謝のメッセージを書いて投函してもらうという非常にシンプルなもの。普段「ありがとう」なんて気恥ずかしくて言えないという人には効果てきめん!遠く離れたおじいちゃん、おばあちゃんに送りたいという子ども、お互いに向けて送りたいと二人で書き合っていたカップル、いつも温かいご飯を作ってくれる母親に感謝したいと言う青年???、
 たくさんの「ありがとう」がポストに入れられました。
 小さな取組みではありますが、「感謝」の大切さを多くの人に届けることができました。また、この活動を通して私たち自身がハッピーになれたことは言うまでもありません。
 将来的にはより多くの人に、「幸せの本質」を伝えていく活動ができればと考えています。

●GNHという「幸せ」の定義と実践
 このように、AFHは幸せとは何かを学びつつ、どうすれば多くの人が幸せになれるのかを追究しています。
 そんな私たちにとってGNHという理念(指標)は、長い時間をかけて探究すべきテーマであると考えています。GNHは元々理念として存在していましたが、それを指標化するということは必然的に「定義付け」が必要になりますし、それをどう国民に浸透させていくかという「実践」が不可欠です。ブータンはどのようにしてこの難題を克服していくのか。そしてブータンにとどまらず、日本が、世界がGNHを実践していくとしたら、どのような課題があるだろうか。関心は尽きません。
 途上国だろうと先進国だろうと、昔だろうと現在だろうと、「人」は「人」であり続け、そして「幸せ」は「幸せ」であり続けると思います。
 物質的に飽和し、少子高齢化・人口減少社会に突入している日本が次の繁栄に心の豊かさ、精神的な充足を見るならば、GNHの存在を見逃すべきではないと思います。
 AFHは新しい日本、世界の礎の一つとなれるようにこれからも活動していきます。GNH研究所の皆様とこれからも様々な場面で協力して活動していければ幸いです。

堀 遼一

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