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人を大切にする幸せの国 キューバ

2013年07月01日

人を大切にする幸せの国 キューバ

 ネットワーク『地球村』では、2011年の「世界一幸せな国ブータン」ツアーに引き続き、昨年「人を大切にする国キューバ」ツアーを行いました。アメリカの経済封鎖の中、物質的には貧しいながらも、精神的には豊かに幸せに暮らしているキューバの人たちに、GNHのマインドを感じました。

【モノはないけど、豊かな国】
市場でライターの修理屋さん キューバに到着したのが夜。いきなり驚いたのが、海外からの窓口である空港のトイレで、便器がなかったり、壊れていたりしていました。街中も派手なネオン、余分な外灯はなく、外へ向けての無駄な明かりは全くといっていいほどありません。物資もエネルギーも必要最小限でやりくりしています。
 アメリカで作られたフォード社などのクラシックカーがここではまだ現役。持ち主自身がペンキを塗りかえ、修理しながら、大切に車を使っています。街角には靴の修理屋があり、靴底を張り替えて使うのは当たり前。市場ではケチャップなどを使い古しのペットボトルに詰めて売っています。古くなったタイヤは組み合わされて植木鉢に。極めつけは、使い捨てライターの修理(写真)。ガスの補充は2ペソ(10円)、修理は3ペソ(15円)で行われています。その器用な手作業は、みていて惚れ惚れするほど。この国には、無駄なもの、使い捨てされるものが全くありません。
 モノはなくても、どこへ行っても笑顔で明るく迎えてくれるのは、他の南米の国々と同じ。そして、キューバには犯罪らしい犯罪はほとんど無いのです。

【災害救助は世界へ】
 キューバの医療技術は先進国並みに充実しており、「最大限の医療」が無料で受診出来ます。国内ばかりではなく、中南米の国々から医学生を受け入れて技術を世界へ広めたり、災害が起きると医療団を派遣するなどの世界貢献もしています。「パーティーにはみんな集まるけれど、不幸な時は本当の友だちしか行かない。だから我々はどこへでも向かう(災害担当の陸軍大尉)」
 モノを大切にする国は、人も大切にする国なのですね。

【エス・タス・コンテント?】
 GNHの国ブータンで聞いたのと同じように「エス・タス・コンテント?(アー・ユー・ハッピー?)」といろいろなところで聞いてみました。大人も子どももみんな、「Si!(はい)」とは答えてくれます。特に老人介護施設を訪れた時の反応は、「もちろん!とっても幸せだ」と体全体でその幸せ感を表現してくれました。キューバ革命、キューバ危機、経済封鎖など普通に生きることすら困難な時代を経験した彼らだからこそ、今の幸せ感をより強く実感しているのだと思いました。

【人を大切にする国】
 社会主義国のキューバは、医療費は無料、教育費は無料、パンやミルクなどは配給で、国民の大半が国から給料をもらう公務員ですから、基本的な生活は満たされています。社会主義国をソ連や中国、北朝鮮などの印象で全て同じようなものだと思っていました。しかし、実際に訪れてみると全く違っていました。「公務員」が、医者や教師だけでなく、ホテルやレストランで働いたり、サルサショーで踊ったりしています。国のため、生きているみんなの幸せのため、という思いがキューバで接したすべての人から伝わってきました。人を大切にする国は、みんなの幸せをみんなが考える国だと感じました。

文責 渡辺裕文(わたなべひろふみ)
NPO法人 ネットワーク『地球村』事務局次長
環境省環境カウンセラー

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