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【お金】とは

2011年06月24日

【お金】とは

 経済的な発展には企業活動が欠かせません。何故なら、企業の業績が上がって資金の流れが活発になる事によってGDPが上がり、企業で働く人の生活が賃金ベースで豊かになるからです。
 この賃金として我々が受け取るお金は国が一定の価値を【お金】という形で認めたものです。そして多くの賃金を受け取った人々はそのお金を発行・印刷した国の信用の元、そのお金を利用して様々な物やサービスと交換できるのです。よって近年、人々はお金をより多く求め、賃金として受け取ったお金が多ければ多いほど豊かであると考えるようになりました。
 「お金さえあれば何でも出来る」と風潮していた有名人もいますが、果たして本当でしょうか。結論から言えばそれは間違っていると考えています。それには以下の理由が考えるからです。

  •  ・お金より他の物を重視する価値基準を持っている人はお金で動かない。
  •  ・ある国のお金は別の国では全く価値の無い場合もある。
  •  ・お金があっても使う場所が無い場所もある。
  •  ・お金では買えないものが世の中にはある(静寂、安全、安心、環境、人間関係など)。

 また、ある国のお金はある国では全く価値の無いケースもあります。例を挙げればブータンの国の通貨はニュルタム(Nu)と言います。この通貨はインドの通貨であるインドルピー(Rs)と連動しており、ブータンでは1インドルピー=1ニュルタムとしてブータン国内で使用可能です。
 ではインド国内では同じように1ニュルタム=1インドルピーとして使えるのでしょうか。実はインド国内ではブータンの紙幣は使えません。言い換えればブータンの貨幣はインド国内ではただの紙切れの価値しかないのです。
 またインドルピーは殆どの日本の銀行では両替が出来ません。一部の特殊な場所にある銀行はインドルピーを円に両替してくれますが、他の銀行ではインドルピーはお金としての価値が無いのです。このように貨幣の価値は相対的なものとも言えます。
 「それは発展途上国の話で日本の円には関係ない」と思う人もいるでしょう。でもそれは、現在は大丈夫というだけの事です。日本の国が経済的に発展し、国情が安定し、日本の国自体が世界中から信用されているからこそ、日本の国の通貨に価値があるのです。
 つまり経済が通貨の信頼度の上に成り立っている以上、経済活動はその通貨を発行している(保障している)国の信頼度との相関関係にあるのです。お金とはこのようにその価値が絶対的なものではありません。
 世の中お金に換算できないものも数多く存在しています。こうしたものの価値を認め、大切にその維持を図る事こそ、逆にお金の価値を安定させるのかもしれません。

 

文責 平山修一

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