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アダルトチャイルド ~未熟な大人~

 先日,郵便ポストへ投函されていた広報誌をたまたま手に取って読んでいて,目にとまった記事がある。女優の東ちづるさんが37歳にて「アダルトチャイルド」と診断された事実が掲載されていた。すぐにアダルトチャイルドの理解が誤解であると判るのだが,この言葉から受ける印象として「心は子供のままに身体は大人へと成長してしまった人」と印象を受けた。私の理解は “未成熟な大人”と訂正できるだろう。
 昨今,結婚出産後に再び職場復帰を望む女性は90%を超えるという。古い考え方なのかもしれないが,筆者は個人的に“女性には家を守って欲しい”と考えている。夫婦共働きの家庭は,そうでない家庭と比べて,確かに収入面では恵まれていると思う。現代日本の物欲を刺激し続ける社会の中で,刺激された物欲を抑えることなく生活を出来るので楽かもしれない。しかし,願望・欲望・物欲を抑えることなく生活を営む事を選択しているのは男女関係なく,子供の様に我慢の出来ない「未成熟な大人」が増えている証ではないかと思った。

 途上国という環境で生活をしているとき,日本,欧米から入ってくる情報は,物欲を刺激する物であった。しかし,途上国ではどう足掻いても刺激された物欲を満たす事は出来なかった。日本での生活は,物欲を満たす為に仕事をしている部分もあったと思うが,途上国での生活は,物欲を満たせなくても,今までにない心地よさを感じる事となった。物欲の捌け口といってはおかしいが「人を喜ばせる事」にエネルギーを費やし,心地よさを感じていた。この途上国での生活は,自身だけでは物欲・欲望・願望を満たす事が出来ず,自ずと我慢が続き,いつしか別な心地よさ,「精神的な充足感」という感覚を手に入れた。これは「未成熟な大人」からの卒業であったかもしれない。

 結婚をしても引き続き,「物欲」よりも「人を喜ばせる事」にエネルギーを割く事は変わらなかった。それまでは不特定多数を喜ばせていたが,妻を喜ばせる事にエネルギーを割いていた。反応が直ぐ見られるので,とても心地よく満足な生活が出来る。この気持ちは妻一人から将来家族が増えて,家族全員を喜ばせる事へと変わっても,“心地よい”と自信を持って言える。

 筆者が子供の頃は「他人が嫌がる事はしない」とは考えても,関わる相手の事を真剣には考えていなかった。しかし結婚をする事によって,将来の夫婦生活が終わりに近付いたときに「良かった」・「ありがとう」と一言を言ってもらうが為だけに,今という時に相手の事を真剣に考え・想い・悩み,そして時には辛い選択をしながらも夫婦で支え合っての生活をしようと思う。この生活を通して,相手の幸せ・喜びを真剣に考え,辛さ・喜び・悲しみの全てを共有する事が夫婦お互い,そして家族全員の幸せに繋がっていくのではないだろうか。

 

文責 瀬畑陽介

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