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ハインリッヒの法則

 1:29:300 この比率を御存知であろうか。この法則はハインリッヒの法則と呼ばれる保険会社や建設会社で働く人たちの間では有名な法則で、米国のハインリッヒ氏が労働災害の発生確率を分析した時に推定したものである。
 簡単に言うと一つの深刻な重大災害の影には、29件の中程度の災害がすでに起こっており、その裏には300件のヒヤリ・ハットした災害があった、つまり一つの深刻な災害は突然起こったのではなく、予兆として多くの程度の軽い災害があったと推測できる事を表した法則である。

 確かに海外で働いていると、その国に居る日本人の数(つまり分母)が小さい為、一つでも日本人が災害に会うとそれは非常に身近なことと意識する。つまり本来供給側に立った理論なのだがこれを被災者の観点で考えると、ひとりの被災は実は300人もが何らかの影響を受けているとも置き換えられる。
 このように人口スケールの小さな国や地域、集団では、物事や社会で起こった出来事を身近な問題と体感できるのである。逆に人口スケールの大きな国では人事以外の何者でもない。しかし、影響は必ず身近にあるのである。
 この視点で見ると、多くの社会における細かな兆候は、大きな変化を予感させることになる。物事が概ねこの比率で定まっているとしたら、細かな兆候を野放しにすることが大きな過失に繋がるのである。

 ヒステリックに国策捜査に誘導されて個人攻撃を繰り返す一部のマスコミは、その自分の無責任な報道によって大きな流れを作り出してしまっていることをどう考えているのであろうか。何故一時は旧態を打破するヒーローとまで持て囃した人物を何故にここまで追い詰めるのであろう。
 逆の見方をすると、多くの社会に対してのアピールは何れ何らかの形になるのである。この事が筆者をはじめとする研究グループがGNHを世に発信し続ける意味でもある。小さな活動を地道に続けること、身近な小さなことから信念を持って行うこと、これらすべては一つの大きな流れを作るのではないか。

 こう考えると、世に発信を続けるものの責任は大きいと考えられる。常に社会の幸福と個人の幸福とのバランスが取れるようなコンセンサスを持つ社会世論の形成には、マスコミをはじめとする情報媒体の果たす役割は大きい。

 

文責 平山修一

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