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コンピュータの辿ってきた歴史

 現在の社会では20年前とは比べ物にならない位コンピュータをあちこちで見掛ける。職場に限らず多くの一般家庭にも広がっている。そのコンピュータの多くはInternetに接続していて,多くの情報を取り入れることが出来るようになっている。20年前であれば容易には出来なかった瞬時に情報取得が現在では容易に出来るようになっている。便利になる一方で新しい形の犯罪も発生している。今回は前回の内容を踏まえてコンピュータの歴史を辿り,コンピュータの転機について考えてみる。

コンピュータ(計算機)の辿ってきた略歴
1. コンピュータ創生期(第2次大戦前)
 この時代はコンピュータとは呼ばれていなかった。“計算機“そう,コンピュータは計算機にしか過ぎなかった。一つの計算をする為に多くの介助作業が必要で,この作業を間違えると正しく動作しなかった。用途も非常に限られていて,主に暗号解読,弾道計算用等の軍用に限られていた。

2. 軍用などで本格導入(真空管を使った計算機)
 戦前は試作の範囲でしかなかったが,徐々に計算機として活用されるようになる。依然として大量の真空管で構成されていて,真空管故障が原因による故障も多く,消費電力も大量。サイズも10畳程の部屋を専有する程の大きさであった。

3. 計算機の小型化(トランジスタの登場)
 トランジスタの登場により真空管がトランジスタへと置き換えられていき,消費電力は格段に少なくなり,計算機自体の大きさも小さくなる。

4. 計算機のさらなる小型化(集積回路の登場)
 今までは必要な電気回路を様々な素子を組み合わせて構成していたが,それらの素子を基盤上に集めて様々な機能を持たせた集積回路が登場する。構成される素子の数は後に増えていき,6mm四方程の広さに1,000~10万個程の素子にて構成される集積回路へと発展していった。

5. 計算機からパーソナルコンピュータへ(家庭へのコンピュータ普及)
 現在のレベルからすれば決して安価ではないが,個人でも購入可能な値段となる。

6. WAN(ワイドエリアネットワーク,インターネット)への接続
 コミュニケーションツールとしての機能が備わるようになる。これ以前にも“パソコン通信”という機能はあったが,一般的に情報を取得するツールとは言えなかった。世界規模にて情報交換が可能になった。

7. 現代(ブロードバンドの普及)
 従来は文字や静止画程度しかインターネットを通じて取得することは出来なかったが,高速な接続速度のお陰で文字よりもデータ量の多い動画もやり取り出来るようになった。多くの動画をインターネットを通じて取得出来るようになり,コミュニケーションツールとしての機能に加えて,テレビの様な機能も加わることになる。

 コンピュータ創生期では計算機としての位置付けでしかなく,用途もごく限られていた。使う為には事前に多くの作業が必要で,作業を失敗すると計算機は正常に作動しないという一般的な機械と同じ性格を持ち合わせていた。しかし,一つの操作ミスが周りに影響することはなく,影響する範囲はごく限られていた。個でしか動くことの無かったコンピュータは,時代が経つにつれて個々のコンピュータがネットワーク通じてお互いが繋がるようになった。それがいつの間にか人間社会にも影響を及ぼすようになってしまった。
 人間が生活していく上で,お互いに影響を及ぼしあいながら生きていく上ではルールは必須であろう。だからこそ法律が存在する。しかし,コンピュータの世界ではお互いが影響しあうようになっているにも関わらず法律は存在せず,コンピュータ同士に限らず悪影響を受ける時もある。規制という名でルール作りをしたならば,それは押しつけとなり反発を招くであろう。GNH的発想の一つ「中道精神」を踏まえてルール作りを行えば,インターネットの利点である自由な発言を出来る環境を損なわずにルール作りが出来るのではないだろうか。次回は転機となったコンピュータがインターネットに接続出来るようになった頃を重点的に考察してみる。

 

文責 瀬畑陽介

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