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しっとりした幸せ

2013年04月01日

しっとりした幸せ

Picture ブータンを振り出しに、延べではあるが“国際協力”という仕事を通じてかれこれ7年程の海外途上国生活をいる。その多くの国は首都でも大きなショッピングセンターはなく、これと言った娯楽もない環境が続いている。週末の楽しみと言えば、自転車乗り、ウォーキングに、テニスくらい。テレビがあっても殆ど見ないので、22:00頃には就寝という健康的な生活をしている。時には夜にも関わらず、停電が起きて“ランプの宿”でもないのに、ローソクに火を灯して薄暗い中で用事を済ませることもある。また、断水の不安を感じながらシャワーを浴びたりもしている。国際協力業界で働いている多くの人は、多かれ少なかれ似た様な環境で生活をしているのではないかと思う。

 一般的な途上国生活では、娯楽や、買い物といったオプションが少ないだけに、特に家族で生活をされている方々は、夫婦、そして家族で向き合って生活する時間が、自然と日本のそれよりも長くなっている。また、ご近所の大多数は当然ながら日本人以外。そのため家族で、もしくは夫婦で喧嘩しようが、仲良かろうが、常に向き合って生活するしかない。喧嘩をしても「実家へ帰らせて頂きます」なんて容易にできないので、向き合って話し合い、仲直りをするしかない。基本的に生活環境も楽ではないので、自ずと家族で支えあって生活をせざるえない環境である。

Picture  これだけを見ると“途上国での生活”というのは、とても退屈で、不便きわまりない環境で、良い事がまるで無い様に見られても当然であろう。しかし、これまで、そして今現在も、こうした途上国で生活をしている日本人の友人、そしてそのご家族(奥さん、お子さん等)を含めて、皆良い顔をしている様に思う。端から見ても夫婦、家族の仲が良いのを感じる。派手さは感じないが、そうした表情、仲から何か“しっとりとした幸せ”を垣間見ることができる。

 生活上、様々なオプション(娯楽、買い物、旅行、仕事、夫婦関係等)が存在する日本。それに対してオプションが少なく、日本に比べてシンプルな生活環境の途上国生活。もしかしたら“シンプルな生活”に幸せに暮らすヒントがあるのではないかと感じる。

文責 瀬畑陽介

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