<< 一つ前のコラムへ 次のコラムへ >>

「不安・心配」と「幸せ」

 タイのバンコクへ赴任をしてから早くも2ヶ月が経った。到着してすぐにアパートはすぐに見付かり、日用品を揃える事もそれ程大きな苦労もなく出来た。これまで赴任したどの途上国よりも短期間にて生活の基盤を整える事が出来たと思う。その後の生活も、これといった大きな問題もなく日々安泰に過ぎていっている。

 先日、日本人の友人と町中をウロウロと歩いていた日、夕飯時になって肩から掛けていたポーチを開いて財布を取り出そうと見当たらない。しかも閉じていたはずのポーチも全開に開いています。スリにあった?ポーチを閉め忘れて中身が飛び出してしまった?いずれにせよ、クレジットカード等が入った財布はあるべきポーチの中に見当たらない。
 頭をよぎる“クレジットカードの不正利用による多額の請求”。日常生活は何も変わっていないのに、財布を落としただけで状況が一変してしまった。

 バンコクへ赴任してからのこれまでと変わった事といえば“財布を無くした”という事実、そして関連して起こった“クレジットカード紛失”。こんな簡単に説明できる出来事なのに、幸せどころか、平穏な日々さえも忘れてしまった。
 カード会社へ連絡して旧カードの停止、再発行手続きを済ませて一安心。ポケットの中で暴れたい放題になっていた小銭を10Bhat(30円ほど)の小銭入れを買ってしまっただけで、ポケットの中がキチンとして小さな幸せを感じたりした。

 大きな「幸せ」を見付けることは難しいかもしれない。しかし、不安・心配を日々の暮らしや人生から取り除くことは努力すれば可能であると思う。無理に幸せを追い求めなくとも、もしかしたら不安・心配を取り除いていったら、その陰には“小さな幸せ”がひっそりとなりを潜めているのかもしれない。ただ、自分の心が気付いていないだけかもしれない。

 

文責 瀬畑陽介

参考資料:高田忠典著GNuHマンダラ

<< 一つ前のコラムへ 次のコラムへ >>