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アメリカは日本を守ってくれるのか?

 「北朝鮮の弾道ミサイル発射への対応を話し合うため、国連安全保障理事会の常任理事国と日本が7日午後(日本時間8日未明)に予定していた非公式会合は中止になった。日米と中露の意見の隔たりは大きく、6カ国で交渉を続けても対立が解けないと一部の国が判断した。各国は本国政府同士の交渉を含めた2国間交渉で妥協の可能性を探っており、安保理交渉は難航を極めている。(毎日jpより)」
 2009年4月5日、日本を含む多くの国の忠告を受けながらも、北朝鮮はロケットの発射に踏み切り、ロケットは発射18分後に本州東2200Kmの海洋に落下した。これはつまり日本の上空を危険物が通過したことになり、日本の安全保障上の問題である。
 オバマ大統領は5日、「(長距離弾道)ミサイル『テポドン2号』の発射は北東アジアと世界の平和と安全に脅威をもたらす」と声明を発表したのち、「ロケットがハワイなどのアメリカの領土に届かないと判断されたため、積極的な措置をとらなかった(筆者簡略)」との趣旨のコメントも発表した。

 何のための新日米安保条約なのだろう。日本が脅威に晒された時にはアメリカ軍が守ってくれるはずではないか。確かにミサイルに関する情報は提供してもらったものの、現に日本の上空を危険な物体が意図的に通過したのである。
 新安保条約の第5条にこのような記載がある。
「ARTICLE NO.5  Each Party recognizes that an armed attack against either Party in the territories under the administration of Japan would be dangerous to its own peace and security and declares that it would act to meet the common danger in accordance with its constitutional provisions and processes. 」
 これは簡単に言えば、在外のアメリカ合衆国軍基地が攻撃を受けた時は、自国が攻撃を受けたと看做され自衛行動を許すが、駐留国の防衛まで行う必要はないという意味である。つまり今回のアメリカ軍の行動は条約通りなのである。
 アメリカは日本を守るために駐留しているのではない。このことがはっきりした以上、彼らが日本に駐留する意味やメリット・デメリットをもう少し話し合うべきではなかろうか。1960年に締結された新安保条約は「その期限を10年とし、以後は締結国からの1年前の予告により一方的に破棄出来る」との条文もあるのだから。

 今の日本では外からの攻撃よりも深刻な安全保障上の危機を感じる。それは「内側からの崩壊」ではないのか。雇用不安、生活不安など、社会が殺伐とし、人々が余裕をなくし、思いやりを発揮できなくなっている。
 日本が負担する米軍の駐留経費は2008年で約4200億円、これらの金額を雇用対策や失業者救済、高齢者対策に当てる事は出来ないのであろうか、内なる安全保障対策費として。。。

 

文責 平山修一

引用:http://www.mod.go.jp/j/defense/US_keihi/keihi.html

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